「うちにはお金がないから。」

 

「ボロ屋」と言われた我が家

一番幼い記憶は、鉄クズの匂いです。

 

 

我が家は東京のはずれにある小さな鉄工場でした。

 

 

父は大真面目で頑固な職人。

 

 

一回り歳の離れた、おっとりとした母。

 

 

昔気質の厳格な祖母。

 

 

3人兄妹のわたしたち。

 

 

一階は鉄くずや砂鉄の散らばる鉄工場。二階の住居に6人暮らし。

 

 

前の通りをバスが通ると、家がガタガタ揺れたのを覚えています。

 

 

 

小学一年生の時、遊びに来た友達に

 

 

「お家、ボロ屋だね」と言われました。

 

 

まだ6歳。友達もきっと悪気もなかったのだと思います。

 

 

子供ながらに悲しくなって泣いたのを覚えています。

 

 

祖母は怒って、彼女は二度と家に招かないようにと言いました。

 

 

兄は病弱で入退院を繰り返し、末の妹が学校にあがると、母はパートに出かけました。

 

 

誕生日会に参加してはならない

 

ある時、謎のルールが敷かれました。

 

 

お友達のお誕生日会に行ってはならない。

 

 

お友達を呼んでお誕生日会はやらない。

 

 

お友達からお誕生日プレゼントをもらってはならない。

 

 

驚いた私が理由を聞くと

 

 

「うちにはお金がないから」。

 

 

 

反論も何もできませんでした。

 

 

子供ながらに、それ以上聞いてはいけないような雰囲気に口をつぐみました。

 

 

お金がないから、大勢の子供たちをもてなしたり、来てくれたお礼の品を用意したりできない。

 

 

また、それぞれのお友達の誕生日の時に、贈り物を用意するのが大変だったのです。

 

 

うちにはお金がないんだと強く強くインプットされました。

 

 

9歳の時、優しいお友達に学校でお誕生日プレゼントをもらいました。

 

 

うちでは買ってもらえないような、とっても可愛らしい文房具のセットです。

 

 

私は受け取ることを拒めませんでした。

 

 

お祝いされて幸せだったし、なんて魅力的な文房具セット…!!

 

 

家に持ち帰り、急いで机に隠しました。

 

 

自分のお誕生日会が出来ない私は、お祝いされるってこんなに嬉しいんだ!と

 

 

舞い上がっていました。

 

 

様子がおかしかった為か文房具セットは両親にすぐに見つかり、ルールを破ったことを私はひどく叱られました。

 

 

祝福をされると両親から否定される。

 

 

祝福を受け取ってはダメなんだ。

 

 

お金がないからお祝いされる資格はないんだ。

 

 

そんな悲しい情報が私の頭の中にしっかりとインプットされたのでした。

 

 

翌年、仲の良かったお友達のお誕生日会に呼ばれしました。

 

 

懲りない私は誕生日会ということは両親には内緒にして行こうと考えました。

 

 

問題はプレゼントを買うお金がないこと。

 

 

「うちにはお金がないからプレゼントを持って行けないんだけど、それでも行ってもいい?」

 

 

こうお友達に聞くのはとても恥ずかしく勇気がいりました。

 

 

せめて何かできたら・・・と考えた私は、手品をしようと思いつきました。

 

 

一生懸命練習したんですよ。

 

 

なのに、当日、大失敗してしまって。

 

 

手品の種が大勢の前で暴露されてしまいました。

 

 

たくさんの友達の前で笑われたのを覚えています。

 

 

プレゼントが用意できないみじめさ。

 

大勢の前で笑われた恥ずかしさ。

 

 

祝福を受け取ってはいけないという呪縛に加え、私のお金に対するネガティブな思いはどんどん大きくなって行きました。

 

第2章 自尊心を育めなかった子供時代 へ続く

 

 

 

 

 

 

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