「仕事辞めてきた」

わたしたちはシェアハウスを出てふたりで暮らすことにしました。

 

お互いの両親にも紹介を済ませ、結婚を前提とした二人暮らし。

 

当時のわたしも可愛いもので、ドラマみたいなあまーい新生活を心に描いていたわけです。

 

 

二人で暮らし始めてまもないある日、ウキウキと晩御飯を作りながら待っているところへ

 

彼はいつものように仕事から帰ってきました。

 

が、思いつめたような表情で玄関で立ち尽くす彼。

 

どうしたのかと声をかけようとしたとき、彼はこう言ったのです。

 

 

「ごめん、仕事辞めてきちゃった・・・」

 

 

頭から、バケツで冷水をかけられたような気持ちになりました。

 

仕事がきついという話はちょこちょこと聞いていました。

 

・・・だけど、まさかこのタイミングで?

 

両親にも挨拶して、友達にも報告して、さあ結婚だ!という、この時に?

 

 

そして彼は身体的にも精神的にも体調を崩し、しばらく休養を余儀なくされました。

 

 

突然、私の収入だけで二人分の生活を支えていかなくてはならなくなったのです。

 

 

正直、どうしたら良いのかわかりませんでした

 

感情的になって問い詰めても良いことは無いはずだ、

 

とりあえず落ち着いて彼の話を聞こう。自殺でもされたら大変だ、とにかく休ませなくては。

 

わたしは渦巻く不安の嵐を沈めながら、話を聞き、休ませることにしたのです。

 

 

 

これから結婚するのに、貯金もできない…と思った私は、Wワークを探し始めました。

 

早朝のパン屋から、の水商売まで、ありとあらゆる可能性を探しましたが、

 

平日はフルタイムで働いていましたし、

 

彼は長時間ひとりのままにしておくのも不安になるような状態でしたから、条件に合うものは見つかりません。

 

 

そして同時に「なんでわたしばっかり頑張らなくちゃならないの?」という気持ちがだんだんと増えてきました。

 

 

そして更に問題だったのが、見栄っ張りな私の性格。

 

私自身、引きこもり生活から脱して、

 

素敵な彼が出来て、結婚して、やっと、やっと幸せになるんだ!

 

黒歴史はもう終わり!と、私は私で必死でした。

 

 

周囲の目を気にして、

 

家族にも、友人にも相談せず、彼とは、まるで全てが順調にいっているかように振舞っていました。

 

 

周りには「彼って本当に素晴らしいの!」と必死でアピールしていました。

 

「だから私は幸せなの!」と。

 

周りから「ダメな男を選んだ女」「男を見る目が無い女」と思われたくなかったのです。

 

 

 

でも、私の心の奥底では、

 

彼は私のことが大切じゃないの?

 

私との生活のために仕事くらい我慢できないの?と

 

彼を責める気持ちが少しずつ積もって行きました。

 

こんな人を選んでしまったのが間違いだったのかな、そんな私がバカだったのかな…と破滅的な気持ちが頭を何度もよぎりました。

 

結婚して旦那さんの扶養に入った友人の話を聞くと、心が妬ましさで一杯になりました。

 

そんな風に思う自分が、嫌で嫌で仕方ありませんでした。

 

 

 

時折、そんな気持ちが抑え切れなくなって、彼に対してつらく当たることが増えていきました。

 

あなたのせいで不安でしょうがない、と泣きながら訴えました。

 

彼も彼でどうしたらよいかわからず、二人で出口のない迷路にはまってしまったような、そんな気持ちで過ごしていました。

 

 

そして私には自信がありませんでした。

 

もう歳も歳だし、そんなに美人でもない。

 

ましてや引きこもりのような黒歴史のある女と結婚してくれるような人は、この人以外に見つかるだろうか。

 

そんな自信はない…

 

私にも、もう逃げ場がないような気がしていたんです。

 

 

 

そしてあの日、いつものように「あなたのせいで!」と私が彼を責めていた時のことです。

 

「わたしばっかり我慢してる!あなたが働けないから好きなことも出来ない!」

 

その日、わたしの心はもう限界でした。

 

周りには良い顔をして、帰れば将来の不安でいっぱいで、

 

わたしの心は真っ二つに割けてしまいそうでした。

 

いつも以上にワアワア泣いて、もうダメだ、全部終わりにしたい、また私は幸せになれない、そう思って泣き続けました。

 

泣きつかれて寝てしまった私が目を覚ましたとき、彼は言いました。

 

 

「まりちゃんは好きにしていいんだよ、我慢しなくていい」

 

何言ってるの!とカッとなりかけましたが、彼は続けました。

 

「確かに今は働けなくて本当に悪いと思ってる。追い出されても仕方ないと思ってるし、そこに甘えてしまっ
てるのは僕が悪い。」

 

働く意志はあるし、私と一緒に暮していきたいと考えてる、と言い、

 

そして恐る恐る、彼は私にこう言いました。

 

「でも僕は、まりちゃんに、我慢して、って頼んでないんだ。」

 

 

そう、別に言われていませんでした。

 

身体中から力が抜けていくような気持ちでした。

 

 

別れてほしいと彼に言う自由は、いつも私にあったんです。

 

嫌なら言えばよかったんです。

 

 

でも、それを選ばずに、苦しむ方を選んでいたのは、紛れもないわたし自身でした。

 

 

世間体を気にして、全てがうまくいっているかのように振舞い続ける必要なんてありませんでした。

 

こんな私と、結婚してくれる人なんかもういない、と自分を軽く見ているもの私でした。

 

私が我慢すれば彼が変わると勝手に期待して、勝手に失望してきたのも私でした。

 

 

私の苦しみの原因は、私にありました。

 

 

仕事が続かない旦那、という現実を突きつけられて、

 

私は、自分の幸せに責任を持っていなかったことに気づかされたのです。

 

 

 

それから私は、自分の幸せに責任を持つ必要を感じるようになっていきました。

 

嫌なことは嫌ということ、好きなことを好きだということ。

 

 

誰かのせいで、という前に、自分で自分のことを幸せにしてあげる必要があるのです。

 

誰かに幸せにしてもらおうなんて思っている限り、失望の連続からは逃れられません。

 

 

その後は、私は自分の好きなことや、やりたいことについて注意を向けるようになりました。

 

夫も、お金のためではなくて、本当にやりたいことを仕事に選ぶべきだと話し合い、新しい業種にチャレンジした結果、新しい職場を見つけてくれました。

 

 

 

他人はコントロール出来ないし、他人は変えられない。

 

でも自分なら?

 

そう考えた私は、だんだんと本当の自立とは何か考え始めました。

 

夫に勝手に期待しない。そう決めてしまうと、どこかとても自由な気がしました。

 

 

そして、

 

そのうち自分で稼いでしまおう、という考えが、私の心の中に芽生え始めたのもこのころです。

 

自分で稼いでしまえば、夫の仕事がどうなろうが気になりませんし、万が一別れたくなっても安心です。

 

先述の通り、旦那が仕事を辞めた頃に、様々な副業を探しましたがどれも体力的に不可能でした。

 

その時知ったのが、インターネットを使ってビジネスをしている人たち、の存在です。

 

あの頃は、まさか3年後に自分がそのビジネスをやっているなんて考えもしませんでした。

 

最終章へ続く

 

 

 

 

 

 

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